樽見鉄道さんは以前、某社に在籍していた折、何度か取材させていただき、職員さんの情熱と真摯な経営努力、またNPO法人「樽見鉄道を守る会」さんなどの活動に心うたれたものです。
今回は職員さんとも再会でき、ほんとに楽しい1日でした。
朝から申し分のないピーカン。同行したYさん、Sさん、そして、中央が樽見鉄道の今村さん。私のこと覚えてて下さいました。某フリーペーパー、今も役立っているようで嬉しいです。
車窓から見える景色の移り変わりも楽しみ。「おりべ駅」から乗車。ここから終点まではいくつものトンネルと渓谷を見ることができます。
200名以上が樽見駅で下車。映画とトークショーは近くの「根尾文化センター」で。
前夜、神山監督を囲む会に出席させていただき、間近でお話をうかがうことができて、ほんと幸せでした。実は神山監督は数年前に上石津中学校で講演をされたことがあります。たしか、映画「さくら」についての講演で、主人公・佐藤良治さんのエピソードなどを話してくださいました。ところがこのとき、保護者の数が非常に少なく、「せっかくの機会なのに」と、とても残念に思ったのをおぼえています。本巣出身の神山監督は「もしかしたら、一之瀬の桑原家の親戚にあたるかもしれない」とおっしゃっていました。
実は私、もう前日から涙腺がゆるみっぱなし。
制作されて30年になる「ふるさと」は神山監督の代表作。文化庁優秀映画奨励賞など数々の賞を受賞し、主演の加藤嘉さんはモスクワ映画祭で最優秀主演男優賞を受賞。絶対にせりふを変えないことが条件で引き受けられたというこの役、役作りの努力もすさまじいものであったそうです。
「ふつう映画っていうのは褒める人がいれば必ずけなす人もいるものだが、この映画だけはだれからもけなされたことがない」と監督。それだけすべての心の人の琴線に触れ、多くの共感を呼んだ作品だったのでしょう。もちろん、30年経った今も決して色あせることはありませんでした。
徳山出身の教員で児童文学者である平方浩介さんの「じいと山のコボ(子ども)たち」を原作に、当時ダム建設のただなかにあった徳山村の現状を織り交ぜたこの作品に流れるのは、消えゆくふるさとへの郷愁とそこに暮らす人々への哀惜の念でしょうか。
加藤さん演じる老人伝三と村の子ども千太郎の心の交流を通じて、今は亡き徳山村の美しい四季が語られ、里山の魅力がふんだんにあふれたこの作品。「山には花や木や虫やいろいろなものがおるから一人でおってもさびしゅうないんや」一つ一つかみしめるようにいうその言葉に、長年山で生きてきたものの誇りを感じました。
また、アマゴ釣りに行き、沢で倒れた伝三が、千太郎を気遣って「慌てるな。坊になにかあってはなんにもならん」と独白するシーン。村最後の学習発表会で「ふるさと」を歌うシーン。エンディングでは会場内にすすり泣きの声がもれていました。すっかり化粧がはがれていた私、「どうぞこのまま明るくなりませんように」と願っていました。
故郷への思いは、世界中普遍です。
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